週刊ミネ

広告業界の片隅で働く映像・Webプロデューサー/ディレクターのブログ。

母校の偏差値からみる企業戦略

偏差値は学校のレベルを図る指標である。今回、母校の偏差値から企業価値を高めること、企業を伸ばすということを考えてみたい。

 

私の出身校は神奈川県にある私立の桐光学園という進学校である。いまでこそ高校の偏差値は70を超えているが、私が高校受験の時は50後半〜60前半だった。 

20年以上の歳月を経て偏差値は10近く上がり、当時のトップ私立進学校だった桐蔭学園をすでに超えている。そして毎年、早慶やMARCHレベルの大学での合格者では県下No.1の合格者数である。

しかし、私が入学した当時、その数は1/3にも満たなかったと思う。

このように劇的に伸びた私の母校を見つめ直すことが、企業価値、ひいては個人としての価値を高めるヒントが隠されていると思うのだ。

私の学生時代の桐光学園は、学区のトップ公立高校に行けなかった人、慶応や桐蔭などの県下のトップ進学校に進めなかった人たちが集まっていた。

 

しかし、最低限の一流大学に進みたいと思っている学生が多かった。私立ということもあり、それを希望している親が多いというのも背景としてあるだろう。そして私も、その中の1人である。

私が高校の時、桐光学園は当時の県下のトップ校である桐蔭学園の影に隠れたような存在だった。それもそのはず、名前が一文字しか違わない。

それを変える転機となったのが、高校2年の時にサッカー部が初めて全国選手権に出たことだと思っている。※私はサッカー部ではなく陸上部だったのだが。

これによる知名度の向上によって、在校生の中に誇りと自信が芽生えたと思う。少なくとも全国的知名度を誇っていた桐蔭学園の影に隠れた存在からの脱却が図れたと思うのだ。

特に私の場合は、兄が桐蔭学園だったということもあり、それを肌で実感したものである。更にその2年後(私の浪人時代)以降から大学合格実績が飛躍的に伸び、それまでの2倍以上に伸びていくのである。

私自身、浪人したとはいえ学習院と青学に合格し、少しばかり学校内では上の方だと思っていたのだが、その年に一気に合格者が増えたこともあり、ガッカリ感と悔しさを覚えたのは否めない。

ちなみにその翌年は中村俊輔率いるサッカー部が全国選手権で準優勝を成し遂げ更に飛躍することになる。

入学する生徒の質や教育方針にそれまでと変わりはない。ただ、その年に、これだけ一気に大学合格者数が増えるということは、生徒が持った自信が大きく影響していると私は思っている。

「同じ学年の仲間ができたことなら、私にできないことはない」という自信と、そこから生まれる前向きな姿勢である。

ただし、桐光学園は県下有数の進学校になるための戦略をキッチリと継続し、すでに下地は整えていたことは言うまでもない。だからこそ、1つのキッカケで大きく実績や評価が変化したと思うのだ。

母校がとっていた戦略とは、知名度を上げるための戦略と、顧客のニーズ(生徒の希望進学先)を捉えた戦略の2軸である。

知名度を上げる戦略は、先にもあげた、スポーツである。他のスポーツ強豪高校と同じように、スポーツ推薦という枠を用意し、スポーツの強豪高校として名を馳せるために徹底したこと。

そして、顧客ニーズを捉えるという点では最低限の一流高校に合格させるためのカリキュラムである。私立大学であれば3教科をキッチリ学ばせればいい。

 そもそも、中学の偏差値で60そこそこだった子供たちの多くを国公立に多く進学させるなど確実に無理なのである。

知名度を上げる戦略で出した成果をキッカケに、生徒達の自信を与え、本質的な目的を後押ししたのである。
これらの学校戦略は、我々のような中小のクリエイティブ関連企業でも当てはめて考えることができると思うのだ。

1つは、家族に誇れるような仕事やアワードを狙える仕事、新らしい発展が見込めそうな案件では、ある程度の利益は度外視して考えることだ。
そしてもう1つは、顧客のニーズに寄り添って実直に売上をあげていくこと。そして、伸ばすべき事業を明確にして磨いていくことである。更にそれを対外的に明確にすることも大事である。

地位を高めることに重きをおきながら、そこで得た自信を、伸ばすべき事業の糧にすることで企業はきっと大きく成長すると思うのである。しかし残念ながら現職では上記の2つの戦略的視点で問題点も存在する。

今の時代の広告コミュニケーションは複雑化し、エージェンシー内でそれぞれの専門部署でまずはスタッフが構成される。当然、それぞれの専門部署から制作会社を発注するケースがほとんどである。

当然、発注する会社を選定する際は、制作会社の強みや背景を鑑みる。
例えば、デジタル担当者から見た場合、「デジタルの仕事だが、映像も必要だ。それであればデジタルの担当者に声を変えたら、社内の映像スタッフを使って案件をまとめてくれるだろう」などである。

だからこそ、その企業がどのような事業を行っているかを明確にすることが当然のことなのだが、少なくとも私が入社以来取り組んできたデジタルに関する取り組みなど、まるで会社のHPなどからは見えてこない。

これでは新しい取り組みと既存の事業の相乗効果を得ることは期待できない、私自身も営業しづらいことこの上ない。だからこそ、私個人のHPを開設する必要があったのだ。

時代に淘汰されないためには、変えていかなければいけないことが多々ある。会社が潰れても私が負債を負うわけではないが、このままだと自分の存在価値が低下してしまうという危機感がある。

もっとも、そうならないために、私自身の仕事の取り組み方としても、改善しなければならない点も多々ある。常に危機感を感じながら、日々自分PDCAを回しながら、仕事に取り組んでいくことが大切だ。